これからつみたてNISAを始めようと考えている方の中で、アクティブファンドにも投資をしてみたいなと思っている人もいるのではないでしょうか。
ただ、初心者で何も知らずにアクティブファンドに投資をするのは少し危険です。
そこで本記事では、アクティブファンドの基本をしっかりと解説したうえで、アクティブファンドを選ぶ際に大切にしたいポイントを3つ紹介させていただきます。
≫元証券マンが積立NISAで投資している銘柄(ファンド)の組み合わせはこの3本!
本記事を読めば、初心者の方でもアクティブファンドの理解が深まり、アクティブファンドの判別がしやすくなります。
つみたてNISAでアクティブファンドに投資をしようか悩んでいる方はぜひ参考にしていただければと思います。
アクティブファンドとは
投資信託には、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があります。
「インデックスファンド」とは、特定の株価指数(ベンチマーク)と連動する成果を目指す投資信託です。
対して「アクティブファンド」は、プロのファンドマネージャーが運用を行い、ベンチマークを上回る収益を目標としている投資信託です。
現在アクティブファンドの種類は4000本近くあり、ファンドの中身も多種多様となっています。
アクティブファンドに投資するメリット
アクティブファンドに投資をする主なメリットは以下の3つです。
- より大きなリターンを狙える可能性がある
- 自分の目的に合わせて投資ができる
- 運用者の顔が見えていることも多く、情報が得やすい
アクティブファンドの最大の魅力はプロが投資対象をしっかりと分析して投資を行っているのでインデックスよりも大きなリターンを狙える可能性があるということです。
この点はかなりファンドマネージャーの目利きや腕に左右されますが、アクティブファンドに投資をする醍醐味と言えるでしょう。
また、アクティブファンドは多種多様なファンドが存在するので、自分の目的に合った投資もしやすくなります。
例えば、株価が割安な銘柄に投資を行うバリュー株投資を重視したファンドやこれから大きく成長が期待できる企業に投資を行うグロース株投資を重視したファンドがあります。
他には特定の業種やテーマに沿った銘柄を組み入れるテーマ型投資信託などもあるので、自分の投資理念に近いものが選べます。
そして、アクティブファンドは運用者の顔が見えていることが多く、情報が得やすいというのもメリットの1つです。
特につみたてNISAの対象となっているアクティブファンドはファンドマネージャーからかなり積極的に情報発信がされている印象があります。
運用者の顔が見えていると信頼してお金を預けることができますし、定期的にセミナーを開催していたり、情報もしっかり開示されているので安心して運用状況を把握することができます。
アクティブファンドに投資するデメリット
一方でアクティブファンドに投資するデメリットもあります。
- 運用コストが高い
- 必ずしも市場平均より高いリターンが出せるとは限らない
- 投資後も多少のチェックが必要
まず、アクティブファンドはプロのファンドマネージャーが企業分析や調査を行っているため、インデックスファンドと比較するとコストが高いです。
ちなみにアクティブファンドの信託報酬(投資信託を保有している間にかかるコスト)の平均は1.5%前後となっています。
投資信託で運用する以上はコストがかかるのは仕方がないのですが、アクティブファンドだからといって必ずしも市場平均より高いリターンが出せるとは限らないということにも注意が必要です。
また、アクティブファンドに投資をした際は半年や年に1回程度投資しているファンドを定期的にチェックすることが推奨されています。
投資をした後のことも考えると運用状況や運用方針などをチェックする手間が少し増えます。
とはいっても、投資全般において自身が投資をした商品の動向を確認することは大切なので、アクティブファンドだからチェックしなければいけないということではないです…
アクティブファンドを選ぶ3つのポイント
では、アクティブファンドに投資をする際に重視したい3つのポイントを紹介していきます。
アクティブファンドに投資をする際は以下の3点を確認するようにしてください。
- 過去の運用実績を確認する
- コストを確認する
- ファンドの中身を確認する
①過去の運用実績
投資をしようと考えているアクティブファンドが長期的な視点で安定的にリターンを上げているかどうかを確認することは重要です。
特につみたてNISAでアクティブファンドに投資をする場合は長い付き合いになっていくため、過去の5年や10年といった期間の運用成績を確認するようにしましょう。
アクティブファンドの運用実績を確認するにあたっては、
- トータルリターン
- シャープレシオ
の2点を見れば十分です。
トータルリターン
…一定期間内に投資商品への投資から得られる総合収益のこと。キャピタルゲイン(譲渡益)だけでなく、再投資された分配金(インカムゲイン)なども含まれる。簡単な式にすると、{利益の合計額/投資コスト(購入価格)}×100で表される。
シャープレシオ
…リスク(標準偏差)1単位あたりの超過リターンを測る指標。シャープレシオの数値が高いほどリスクを取ったことによって得られた超過リターンが高いこと、つまり運用の効率性が高いことを意味する。
モーニングスターを使うと、個別の投資信託の運用実績が簡単に調べられますのでぜひ活用してください。
例として、つみたてNISAでも非常に人気の高い「ひふみ投信」を用いて見方を説明させていただきます。
モーニングスターでは上図のように、「トータルリターン」「標準偏差」「シャープレシオ」の項目が1年、3年、5年、10年といった期間ごとにまとめられています。
また、同じカテゴリー内における相対的な順位も掲載されているので、ファンド選びの際に非常に役立ちます。
既に説明したように、長期的な視点で安定的にリターンを上げているかを確認したいので、5年や10年といった期間で「トータルリターン」と「シャープレシオ」を確認します。
すると、ひふみ投信は過去5年の期間は年率で12.20%、過去10年の期間は年率で17.83%のリターンを出していることが分かり、同じ国内中型グロースのカテゴリーと比較しても相対的にいいことが分かります。
また、シャープレシオは過去5年で0.81、10年では1.16となっています。
一般的にはシャープレシオは0.5∼0.9で普通、1を超えると優秀と言われているのでぜひ参考にしてください。
②コスト
続いてアクティブファンドを選ぶ際に確認しておきたいのがコストです。
投資信託に投資をする上でかかるコストは以下の3つになります。
買付時手数料
…投資信託を購入する時に販売会社である証券会社や銀行などで注文を取り次ぎするための対価として支払う手数料のこと。
信託報酬
…投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用のこと。ただし、別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して〇%」といった形で毎日差し引かれる。
信託財産留保額
…投資信託を解約する際に投資家が支払う費用のこと。ただし、別途投資家が支払うのではなく、「基準価額に対して〇%」といった形で解約代金から差し引かれる。
つみたてNISAでアクティブファンドに投資をする場合は買付時手数料はかかりません。
信託財産留保額はかかるものとかからないものがあるので、自分が投資をしようと検討しているアクティブファンドの信託財産留保額の有無を確認してみてください。
投資信託を保有するうえで絶対に避けられないのが信託報酬です。
つみたてNISAの場合、金融庁が国内型のアクティブファンドは年1.0%以下、海外型のアクティブファンドは年1.5%以下と基準を定めていますが、長期投資をする上ではコストはできる限り抑える方が望ましいです。
投資をする前にしっかりとかかるコストを認識しておいてください。
③ファンドの中身
ファンドの特徴やポートフォリオの中身を確認することも非常に重要です。
アクティブファンドは運用方法や組入銘柄などが多種多様なので、目論見書を見てどういった運用方針を掲げ、どういった銘柄に投資をしているのかを確認しましょう。
この点に関しては、自分がそのファンドの投資方針に共感できるかどうかが大切になります。
直感的な判断になってしまいますが、他人から勧められたものに投資をするよりも自分がいいと思ったファンドに投資をする方が長期投資においては重要です。
最近はアクティブファンドのファンドマネージャーがSNSやYoutubeで動画を発信していたり、セミナー等も開催しているので、気になったアクティブファンドがあればより深い情報を入手するようにしましょう。
また、アクティブファンドの組入銘柄を見て、自分が既に投資をしているインデックスファンドや株式と大きくダブってないかは確認しておいた方がいいです。
まとめ:インデックスファンドとの併用がおすすめ
以上、アクティブファンドの基本と選ぶ際に重視したい3つのポイントを解説させていただきました。
アクティブファンドは本当に多種多様で選ぶのが難しいと思いますが、本記事で紹介した3つのポイントを重視していただければいいファンドに出会える確率は上がります。
私は基本的につみたてNISA初心者の方にはインデックスファンドをおすすめしていますが、人によってはアクティブファンドに投資をしてみたいという方もいらっしゃると思います。
そのような方はアクティブファンドのメリットとデメリットをしっかりと理解したうえで、インデックスファンドと併用してアクティブファンドにも投資することをおすすめします。
以下の記事では、つみたてNISA対象のアクティブファンド全21本を純資産総額、コスト、運用成績が一覧で比較できるように分かりやすくまとめておりますので、ぜひ併せて参考にしていただければ幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。