- つみたてNISAで先進国株式インデックスファンドへの投資を検討しているが、どれを選べばいいか分からない…
- 先進国株式インデックスファンドをまとめて比較したい!
- 先進国株式インデックスファンドを選ぶポイントを知りたい!
つみたてNISA対象の先進国株式インデックスファンドは全部で19本ありますが、特に初心者の方は「どれを選んだらいいのか分からない…」といった状態の人もいらっしゃると思います。
そこで本記事では、つみたてNISA対象の先進国株式インデックスファンド全19本を分かりやすく比較できるように一覧にまとめました。
それぞれの先進国株式インデックスファンドの純資産総額、コスト、運用成績等がパッと一目で確認できるようになっているので、参考にしていただければ幸いです。
また、インデックスファンドを選ぶ際に確認すべき3つのポイントや結局どれがおすすめなのかについても言及していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人
- AFP資格保有(FP実務経験あり)
- 過去に大手証券会社に勤務していた経験あり
- 金融系Webライター
インデックスファンド選びで重視したい3つのポイント
インデックスファンドを選ぶ際には以下の3つのポイントを意識しましょう。
- コスト
- 純資産総額
- ベンチマークとの乖離
インデックスファンドは目標とする連動指数が同じ場合、中身は変わらないのでこの3つの基準が大きく差別化できるポイントになります。
①コスト
投資信託にかかるコストは以下の3つがあります。
- 買付時手数料
- 投資信託を購入する時に販売会社である証券会社や銀行などで注文を取り次ぎするための対価として支払う手数料のこと。
- 信託報酬
- 投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用のこと。ただし、別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して〇%」といった形で毎日差し引かれる。
- 信託財産留保額
- 投資信託を解約する際に投資家が支払う費用のこと。ただし、別途投資家が支払うのではなく、「基準価額に対して〇%」といった形で解約代金から差し引かれる。
つみたてNISAの対象ファンドは「買付時手数料」がかからないので、意識すべきは「信託報酬」と「信託財産留保額」の2つです。
「信託報酬」は投資信託を保有する以上絶対にかかるコストなので、できる限り信託報酬が低いものを選びましょう。
「信託財産留保額」に関してはかかるものとかからないものがあるので、信託財産留保額がかからないものを選ぶようにしましょう。
②純資産総額
インデックスファンドに投資をする場合、できる限り純資産総額が大きいファンドを選ぶのも鉄則です。
理由は以下の2点。
- 信託報酬が引き下がる可能性がある
- 繰上償還される可能性が低くなる
純資産総額が大きいと規模のメリット(=スケールメリット)によって経費率を抑えられるようになり、結果として信託報酬が引き下がる可能性があります。
そして、純資産総額が大きいほど繰上償還される可能性が低くなります。
- 繰上償還
- ファンドの運用資産が少なくなり、効率のいい運用が難しくなった場合などに信託期間の途中で運用を中止し、償還すること。繰上償還が決まると、受益者(=ファンドの保有者)に受益権の口数に応じて信託財産が返還される。
せっかく長期の視点で運用をしようと考えているのに、途中で繰上償還してしまうと再度運用の計画を立て直さなければなりません…
以上の2つの観点を踏まえると、純資産総額の目安としては30億円以上が望ましいと言われているので、特に初心者の方はこの数字を意識してみてください。
③ベンチマークとの乖離
これまで紹介してきたコストと純資産総額よりも重要度は落ちますが、ベンチマークとの乖離も確認しておくとさらに良いです。
対象となる指数への連動を目指していても売買のタイミングや偏りなど様々な条件が組み合わさった結果、ファンドの成績がベンチマークとズレてしまうことをトラッキングエラーと言います。
そして、覚えていただきたいのはこのトラッキングエラーは小さいほうがいいということです。
一般的にはいいインデックスファンドはトラッキングエラーが小さく、悪いインデックスファンドはトラッキングエラーが大きくなる傾向があると言われています。
インデックスファンドの運用者の腕の見せ所でもあるので、1つの参考にしていただければと思います。
≫インデックスファンドの選び方が分かる!選ぶ基準は3つのポイントを意識すればOK!
【徹底比較】先進国株式インデックスファンド
つみたてNISA対象の先進国株式インデックスファンドは全部で19本あります。
そして、連動指数を細かく分類すると以下の3つに分けることができます。
- MSCI KOKUSAI Index
- MSCI KOKUSAI Index(為替ヘッジあり)
- FTSE Developed All Cap Index
- MSCI KOKUSAI Index
- 米MSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)社が公表する世界の先進国を対象とした時価総額加重平均型の株価指数。日本を除く22の先進国の上場株式で構成される。
- FTSE Developed All Cap Index
- 日本を含む先進国24カ国の大型・中型・小型株を全て含む株価指数。英FTSEインターナショナル社が算出する。
それぞれの対象指数ごとにコスト、純資産総額、トラッキングエラー、運用成績を比較できる仕様にしているので、ぜひ参考にしてください。
MSCI KOKUSAI Index
「MSCI KOKUSAI Index」は日本を除く先進国の株価動向を示す代表的なインデックスです。
モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル社が公表しており、日本を除く先進国22カ国に上場する大型株・中型株で構成されています。
浮動株ベースの時価総額加重平均で算出されており、時価総額で先進国株式市場の約85%をカバーしています。
構成銘柄数は約1,300ほどです。
2022年1月31日時点の国別のウエイトは以下のようになっています。
国名 | 比率 |
アメリカ | 73.36% |
イギリス | 4.48% |
カナダ | 3.64% |
フランス | 3.5% |
スイス | 3.01% |
その他 | 12% |
ご覧のとおり、4分の3は米国株で構成されておりますので、この点も認識しておくといいですね。
では、つみたてNISA対象の「MSCI KOKUSAI Index」に連動するインデックスファンドの一覧を見ていきましょう。
【横にスクロールできます】
ファンド名 | 設定日 | 決算日 | 純資産総額 【百万円】 | 信託報酬 【税込】 | 実質コスト | 信託財産留保額 | 年率リターン 【1年】 | 年率リターン 【3年】 | 年率リターン 【5年】 | 年率リターン 【10年】 |
野村 スリーゼロ先進国株式投信 | 2020/3/16 | 12月20日 | 2,660 | 0% | – | なし | 26.23% | – | – | – |
eMAXIS Slim先進国株式インデックス | 2017/2/27 | 4月25日 | 296,371 | 0.1023% | 0.146% | なし | 26.08% | 19.30% | – | – |
ニッセイ 外国株式インデックスファンド | 2013/12/10 | 11月20日 | 366,266 | 0.1023% | 0.160% | なし | 25.99% | 19.27% | 13.84% | – |
SMBC・DCインデックスファンド(MSCIコクサイ) | 2020/7/22 | 11月30日 | 751 | 0.1023% | 0.161% | なし | 25.71% | – | – | – |
たわらノーロード先進国株式 | 2015/12/18 | 10月12日 | 169,331 | 0.10989% | 0.179% | なし | 26.03% | 19.24% | 13.81% | – |
i-SMT グローバル株式インデックス(ノーロード) | 2017/11/24 | 10月20日 | 632 | 0.209% | 0.247% | なし | 25.90% | 19.12% | – | – |
iFree外国株式インデックス(為替H無) | 2016/9/8 | 11月30日 | 18,286 | 0.209% | 0.245% | なし | 25.94% | 19.14% | 13.76% | – |
東京海上S・外国株式インデックス | 2010/4/28 | 4月15日 | 27,719 | 0.220% | 0.314% | なし | 26.41% | 19.28% | 13.85% | 16.31% |
Smart-i 先進国株式インデックス | 2017/8/29 | 6月25日 | 16,496 | 0.220% | 0.286% | なし | 26.10% | 19.17% | – | – |
つみたて先進国株式 | 2017/8/26 | 6月25日 | 57,956 | 0.220% | 0.266% | なし | 25.93% | 19.16% | – | – |
外国株式指数ファンド | 2009/10/19 | 11月30日 | 4,783 | 0.55% | 0.606% | 0.30% | 25.58% | 18.91% | 13.50% | 16.23% |
SMTグローバル株式インデックス | 2008/1/9 | 5月10日 11月10日 | 126,454 | 0.55% | 0.588% | 0.05% | 25.48% | 18.74% | 13.38% | 16.14% |
野村 インデックスF・外国株式 | 2010/11/26 | 9月6日 | 30,937 | 0.605% | 0.621% | なし | 25.46% | 18.74% | 13.35% | 16.06% |
eMAXIS 先進国株式インデックス | 2009/10/28 | 1月26日 | 56,196 | 0.66% | 0.713% | なし | 25.34% | 18.62% | 13.27% | 15.98% |
信託報酬に着目すると「野村 スリーゼロ先進国株式投信」が驚愕の0%と一つ抜けています。
とはいえ、信託報酬が0%なのは2030年12月31日までで、2031年1月1日以降は年率0.11%の信託報酬がかかる見込みとなっています。
コストが低い分、相対的にパフォーマンスが良いのですが、販売会社は野村證券とLINE証券の2社のみです。
LINE証券でもつみたてNISAの取り扱いが始まりましたので、LINE証券でつみたてNISAを始める方は「野村 スリーゼロ先進国株式投信」は有力な選択肢の1つになります。
≫【徹底評価】野村スリーゼロ先進国株式投信の評判は?信託報酬0%のインデックスファンド
他にも
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
- ニッセイ 外国株式インデックスファンド
- SMBC・DCインデックスファンド(MSCIコクサイ)
- たわらノーロード先進国株式
の4ファンドに関しては、信託報酬が0.10%前後と非常に低コストなのでおすすめです。
上記4ファンドの中から選べないという方は、とりあえず「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」を選んでおきましょう。
売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用を加味した実質コストも0.15%を切っており、相対的に運用成績が良くなっています。
また、「eMAXIS Slim」シリーズは業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続けていますし、販売会社も多いので購入しやすいです。
MSCI KOKUSAI Index(為替ヘッジあり)
続いて同じ「MSCI KOKUSAI Index」ではありますが、為替ヘッジありコースが4本設定されています。
通常、先進国株式に投資をする場合は様々な投資地域ごとの通貨で株式を保有し、それを円貨ベースに換算して投資信託の基準価額を算出しています。
為替ヘッジありとは、為替変動の影響を少なくするために設計された商品です。
為替変動の影響を極力排除して運用したいという方には向いていますが、為替ヘッジを行うヘッジコストがかかるということは頭に入れておきましょう。
【横にスクロールできます】
ファンド名 | 設定日 | 決算日 | 純資産総額 【百万円】 | 信託報酬 【税込】 | 実質コスト | 信託財産留保額 | トラッキング エラー【1年】 | 年率リターン 【1年】 | 年率リターン 【3年】 | 年率リターン 【5年】 | 年率リターン 【10年】 |
iFree外国株式インデックス(H有) | 2018/8/31 | 11月30日 | 4,923 | 0.209% | 0.249% | なし | 1.98 | 15.69% | 16.10% | – | – |
たわらノーロード先進国株式<H有> | 2016/10/3 | 10月12日 | 16,068 | 0.220% | 0.288% | なし | 1.99 | 15.82% | 16.09% | 12.19% | – |
つみたて先進国株式(為替H有) | 2017/8/16 | 6月25日 | 918 | 0.220% | 0.330% | なし | 1.98 | 15.59% | 15.92% | – | – |
野村 インデックスF・外国株式・H型 | 2013/5/7 | 9月6日 | 7,153 | 0.605% | 0.654% | なし | 1.99 | 15.28% | 15.72% | 11.71% | – |
為替ヘッジありを選択したい場合は、コストが最安の「iFree外国株式インデックス(H有)」か純資産総額が最も大きく相対的に運用成績がいい「たわらノーロード先進国株式<H有>」のどちらかを選んでおきましょう。
ただ、特に為替ヘッジへのこだわりがないのであれば、前述の「MSCI KOKUSAI Index」に連動する為替ヘッジなしのファンドを選んでおくことをおすすめします。
FTSE Developed All Cap Index
先進国株式市場の動向を表す株価指数には「FTSE Developed All Cap Index」というのもあります。
こちらはイギリスのFTSEインターナショナル社が算出しており、日本を含む先進国24カ国の大型・中型・小型株を全て含んでいます。
先ほど紹介した「MSCI KOKUSAI Index」との違いを簡潔にまとめました。
MSCI KOKUSAI Index | FTSE Developed All Cap Index | |
投資国数 | 22ヶ国 | 24ヶ国 |
投資対象 | 大型/中型 | 大型/中型/小型 |
構成銘柄数 | 約1,300 | 約5,800 |
米国への投資割合 | 73.36% | 66.42% |
「FTSE Developed All Cap Index」が「MSCI KOKUSAI Index」と大きく異なる点は以下の2つ。
- 投資国数が2ヶ国(日本、韓国)多い
- 小型株も投資対象としているため、構成銘柄数も非常に多くなっている
つまり、小型株まで含めてもっと先進国株式に幅広く分散投資したいという方は「FTSE Developed All Cap Index」をおすすめできます。
ただ、注意点としては投資対象に日本と韓国が含まれますので、日本株ファンドや新興国株ファンドを別途保有されている方は重複してしまう可能性があります。
複数のファンドを保有して、投資対象を重複させたくないという方は「MSCI KOKUSAI Index」に連動するファンドを選んでおくのが無難です。
つみたてNISA対象の「FTSE Developed All Cap Index」に連動するインデックスファンドは1本あります。
ファンド名 | 設定日 | 決算日 | 純資産総額 【百万円】 | 信託報酬 【税込】 | 実質コスト | 信託財産留保額 | 年率リターン 【1年】 | 年率リターン 【3年】 | 年率リターン 【5年】 | 年率リターン 【10年】 |
SBI・先進国株式インデックス・ファンド | 2018/1/12 | 11月12日 | 9,006 | 0.0682% | 0.119% | なし | 20.64% | 16.81% | – | – |
コストも非常に低いですし、つみたてNISAを利用して「FTSE Developed All Cap Index」に連動する成果を狙いたいのであれば、「SBI・先進国株式インデックス・ファンド」一択ですね。
まとめ:おすすめの先進国株式インデックスファンド
以上、つみたてNISA対象の先進国株式インデックスファンド全19本を徹底比較しました。
先進国株式インデックスファンドは非常に本数も多く、低コストの優良ファンドも複数あるので、どれを選ぶべきか迷うという人もいると思います。
最後におすすめの先進国株式インデックスファンドをまとめておきます。
- 野村 スリーゼロ先進国株式投信
- →野村證券やLINE証券でつみたてNISAを始める人
- eMAXIS Slim先進国株式/ニッセイ外国株式インデックスファンド
- →「MSCI KOKUSAI Index」に連動するファンドの中で低コストかつ純資産総額が大きいファンドに投資をしたい人
- iFree外国株式インデックス(H有)/たわらノーロード先進国株式<H有>
- →「MSCI KOKUSAI Index」の為替ヘッジありに投資をしたい人
- SBI・先進国株式インデックス・ファンド
- →日本と韓国を投資対象に含むことを許容できたうえで、より幅広く先進国株式に投資をしたい人
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
*本記事はあくまで個人が作成した記事であり、情報の確実性を保証するものではありません。また、投資は自己責任でお願いします。