- つみたてNISAで新興国株式インデックスファンドへの投資を検討しているが、どれを選べばいいか分からない…
- 新興国株式インデックスファンドをまとめて比較したい!
- 新興国株式インデックスファンドを選ぶポイントを知りたい!
つみたてNISA対象の新興国株式インデックスファンドは全部で12本ありますが、特に初心者の方は「どれを選んだらいいのか分からない…」といった状態の人もいらっしゃると思います。
そこで本記事では、つみたてNISA対象の新興国株式インデックスファンド全12本を分かりやすく比較できるように一覧にまとめました。
それぞれの新興国株式インデックスファンドの純資産総額、コスト、運用成績等がパッと一目で確認できるようになっているので、参考にしていただければ幸いです。
また、インデックスファンドを選ぶ際に確認すべき3つのポイントや結局どのファンドがおすすめなのかについても言及しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人
- AFP資格保有(FP実務経験あり)
- 過去に大手証券会社に勤務していた経験あり
- 金融系Webライター
インデックスファンド選びで重視したい3つのポイント
インデックスファンドを選ぶ際には以下の3つのポイントを意識しましょう。
- コスト
- 純資産総額
- ベンチマークとの乖離
インデックスファンドは目標とする連動指数が同じ場合、中身は変わらないのでこの3つの基準が大きく差別化できるポイントになります。
①コスト
投資信託にかかるコストは以下の3つがあります。
- 買付時手数料
- 投資信託を購入する時に販売会社である証券会社や銀行などで注文を取り次ぎするための対価として支払う手数料のこと。
- 信託報酬
- 投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用のこと。ただし、別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して〇%」といった形で毎日差し引かれる。
- 信託財産留保額
- 投資信託を解約する際に投資家が支払う費用のこと。ただし、別途投資家が支払うのではなく、「基準価額に対して〇%」といった形で解約代金から差し引かれる。
つみたてNISAの対象ファンドは「買付時手数料」がかからないので、意識すべきは「信託報酬」と「信託財産留保額」の2つです。
「信託報酬」は投資信託を保有する以上絶対にかかるコストなので、できる限り信託報酬が低いものを選びましょう。
「信託財産留保額」に関してはかかるものとかからないものがあるので、信託財産留保額がかからないものを選ぶようにしましょう。
②純資産総額
インデックスファンドに投資をする場合、できる限り純資産総額が大きいファンドを選ぶのも鉄則です。
理由は以下の2点。
- 信託報酬が引き下がる可能性がある
- 繰上償還される可能性が低くなる
純資産総額が大きいと規模のメリット(=スケールメリット)によって経費率を抑えられるようになり、結果として信託報酬が引き下がる可能性があります。
そして、純資産総額が大きいほど繰上償還される可能性が低くなります。
- 繰上償還
- ファンドの運用資産が少なくなり、効率のいい運用が難しくなった場合などに信託期間の途中で運用を中止し、償還すること。繰上償還が決まると、受益者(=ファンドの保有者)に受益権の口数に応じて信託財産が返還される。
せっかく長期の視点で運用をしようと考えているのに、途中で繰上償還してしまうと再度運用の計画を立て直さなければなりません…
以上の2つの観点を踏まえると、純資産総額の目安としては30億円以上が望ましいと言われているので、特に初心者の方はこの数字を意識してみてください。
③ベンチマークとの乖離
これまで紹介してきたコストと純資産総額よりも重要度は落ちますが、ベンチマークとの乖離も確認しておくとさらに良いです。
対象となる指数への連動を目指していても売買のタイミングや偏りなど様々な条件が組み合わさった結果、ファンドの成績がベンチマークとズレてしまうことをトラッキングエラーと言います。
そして、覚えていただきたいのはこのトラッキングエラーは小さいほうがいいということです。
一般的にはいいインデックスファンドはトラッキングエラーが小さく、悪いインデックスファンドはトラッキングエラーが大きくなる傾向があると言われています。
インデックスファンドの運用者の腕の見せ所でもあるので、1つの参考にしていただければと思います。
≫インデックスファンドの選び方が分かる!選ぶ基準は3つのポイントを意識すればOK!
【徹底比較】新興国株式インデックスファンド
つみたてNISA対象の新興国株式インデックスファンドは全部で12本あります。
そして、ベンチマーク(対象指数)は以下の3つに分けられます。
- MSCI Emerging Markets Index
- 新興国24カ国の大型・中型株で構成される株価指数。時価総額加重平均で算出される。組入構成国・地域の上位は中国、韓国、台湾など。米MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社が算出。
- FTSE Emerging Index
- 新興国23カ国の大型・中型株で構成される株価指数。時価総額加重平均で算出される。組入構成国・地域の上位は中国、台湾、インドなどで、韓国を対象としない点が特徴。英FTSEインターナショナル社が算出。
- FTSE RAFI Emerging Index
- 新興国23ヶ国の大型・中型・小型株の中から、配当やフリーキャッシュフロー、売上高などの業績・財務関連指標に基づき銘柄の選定、比率決定を行う。英FTSEインターナショナル社と米リサーチ・アフィリエイツ社が算出。
詳細は後述しますが、それぞれの指数の主な違いを表にまとめました。
MSCI Emerging Markets Index | FTSE Emerging Index | FTSE RAFI Emerging Index | |
投資国数 | 24ヶ国 | 23ヶ国 | 23ヶ国 |
投資対象 | 大型/中型 | 大型/中型 | 大型/中型/小型 |
構成銘柄数 | 約1,400 | 約1,900 | 約400 |
MSCI Emerging Markets Index
「MSCI Emerging Markets Index」は新興国株式を対象とする代表的な株価指数で、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社が算出しています。
時価総額加重平均で算出されており、対象国市場の時価総額上位約85%をカバーしている広範なインデックスです。
構成銘柄数は約1,400銘柄で、投資対象国に韓国を含んでいる点が後述する2指数とは異なります。
つみたてNISA対象のインデックスファンドで「MSCI Emerging Markets Index」に連動する商品は10本あります。
【横にスクロールできます】
ファンド名 | 設定日 | 決算日 | 純資産総額 【百万円】 | 信託報酬 【税込】 | 実質コスト | 信託財産留保額 | 年率リターン 【1年】 | 年率リターン 【3年】 | 年率リターン 【5年】 | 年率リターン 【10年】 |
eMAXIS Slim新興国株式インデックス | 2017/7/31 | 4月25日 | 81,039 | 0.1870% | 0.370% | なし | -0.87% | 8.68% | – | – |
ニッセイ 新興国株式インデックスファンド | 2017/10/13 | 11月20日 | 3,082 | 0.2079% | 0.346% | なし | -1.20% | 8.48% | – | – |
i-SMT 新興国株式インデックス(ノーロード) | 2018/1/12 | 10月20日 | 147 | 0.363% | 0.563% | 0.30% | -0.66% | 8.79% | – | – |
たわらノーロード新興国株式 | 2016/3/14 | 10月12日 | 12,987 | 0.374% | 1.129% | 0.30% | -1.60% | 7.42% | 6.92% | – |
Smart-i 新興国株式インデックス | 2017/8/29 | 6月25日 | 2,760 | 0.374% | 0.660% | なし | -1.49% | 7.88 | – | – |
三井住友・DC新興国株式インデックスF | 2011/4/18 | 11月30日 | 4,585 | 0.374% | 0.609% | なし | -1.95% | 7.74% | 6.83% | 6.79% |
つみたて新興国株式 | 2017/8/16 | 6月25日 | 15,261 | 0.374% | 0.551% | なし | -1.06% | 8.49% | – | – |
SMT 新興国株式インデックス・オープン | 2008/12/15 | 5月10日 11月10日 | 28,554 | 0.660% | 0.866% | 0.30% | -0.97% | 8.46% | 7.57% | 7.83% |
eMAXIS 新興国株式インデックス | 2009/10/28 | 1月26日 | 35,238 | 0.660% | 0.841% | 0.30% | -1.31% | 8.22% | 7.43% | 7.69% |
野村 インデックスF・新興国株式 | 2010/11/26 | 9月6日 | 5,858 | 0.660% | 0.781% | 0.30% | -1.11% | 8.46% | 7.52% | 7.82% |
つみたてNISAで新興国株式インデックスファンドに投資をするのであれば「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」がおすすめです。
純資産総額も1つ抜けており、コストも低いので相対的に運用成績も良くなっています。
また、「eMAXIS Slim」シリーズは業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続けていますし、販売会社も多いので購入しやすい点もいいですね。
FTSE Emerging Index
「FTSE Emerging Index」は英FTSEインターナショナル社が算出している株価指数で、新興国23ヶ国の大型・中型株で構成されています。
「MSCI Emerging Markets Index」よりも多い約1900銘柄で構成されており、対象国市場の時価総額上位約90%以上をカバーしています。
より幅広く新興国株式に投資がしたいという方にはおすすめできる指標です。
ただし、「FTSE Emerging Index」は投資対象国に韓国を含んでいない点に注意しましょう。
つみたてNISA対象の「FTSE Emerging Index」に連動する商品は1本のみです。
ファンド名 | 設定日 | 決算日 | 純資産総額 【百万円】 | 信託報酬 【税込】 | 実質コスト | 信託財産留保額 | 年率リターン 【1年】 | 年率リターン 【3年】 | 年率リターン 【5年】 | 年率リターン 【10年】 |
SBI・新興国株式インデックス・ファンド | 2017/12/16 | 11月12日 | 13,755 | 0.176% | 0.19% | なし | 1.39% | 8.97% | – | – |
FTSE RAFI Emerging Index
「FTSE RAFI Emerging Index」は英FTSEインターナショナル社と米リサーチ・アフィリエイツ社が算出している株価指数です。
新興国23ヶ国の大型・中型・小型株の中から、以下の4つのファンダメンタル要素を考慮して組入銘柄の選定と比率を決定しています。
- 売上
- キャッシュフロー
- 株主資本
- 配当
「FTSE Emerging Index」のような市場全体の平均や値動きに連動する指標ではなく、財務指標や株価の変動率など銘柄の特定の要素に基づいて構成されている、いわゆる「スマートベータ指数」になります。
構成銘柄数は約400なので、前述の2指数と比較すると分散効果は少ないですね。
つみたてNISA対象の「FTSE RAFI Emerging Index」に連動する商品は1本のみです。
ファンド名 | 設定日 | 決算日 | 純資産総額 【百万円】 | 信託報酬 【税込】 | 実質コスト | 信託財産留保額 | 年率リターン 【1年】 | 年率リターン 【3年】 | 年率リターン 【5年】 | 年率リターン 【10年】 |
iFree新興国株式インデックス | 2016/9/8 | 7月5日 | 8,077 | 0.374% | 0.754% | なし | 17.67% | 7.18% | 6.23% | – |
まとめ:「eMAXIS Slim新興国株式」がおすすめ!
以上、つみたてNISA対象の新興国株式インデックスファンドを徹底比較しました。
改めて総合的な観点でまとめると、現時点では「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」がおすすめです。
純資産総額も1つ抜けていますし、コストも低いので相対的に運用成績も良くなっています。
また、FTSE Emerging Indexに連動させたいのであれば「SBI・新興国株式インデックス・ファンド」。
FTSE RAFI Emerging Indexに連動させたいのであれば「iFree新興国株式インデックス」を選んでもいいと思います。
ただし、FTSEの指数は韓国を新興国に分類しており、MSCIは韓国を先進国に分類している点に注意が必要です。
先進国株式インデックスと新興国株式インデックスを併せて保有する場合は、MSCIとFTSEを統一しておくと韓国の重複や漏れが防げます。
ちなみに私はMSCIで指数を統一しており、「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」と「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」に投資をしています。
本記事がつみたてNISAで新興国株式インデックスファンドに投資をしようと考えている方のお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
*本記事はあくまで個人が作成した記事であり、情報の確実性を保証するものではありません。また、投資は自己責任でお願いします。