これから長期で資産運用を行うにあたって、より学術的にインデックス投資の優位性を学びたいという方におすすめしたい本があります。
米国の経済学者バートン・マルキール博士が書いたインデックス投資の名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』です。
本書は1973年の初版から40年以上にわたって改訂され続け、多くの投資家に読まれて影響を与えてきました。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』を読んだことで、これまでうまくいかなかった個別株投資を止めてインデックス投資を中心とした運用スタイルを変えた投資家も多いです。
ただ、この本は500ページを超える分厚さとなっており、「なかなか読む気になれない…」という人もいると思います。
そこで本記事では、『ウォール街のランダム・ウォーカー』を読んで個人的に重要だと思った箇所を要約してまとめました。
ぜひ本記事を読んで要点を押さえていただいてから『ウォール街のランダム・ウォーカー』を読んでみてください。
【主張】インデックスファンドに投資せよ
本書は株価の動きは予測不能というランダムウォーク理論に基づいて、インデックス投資の優位性を学術的に学べる内容となっています。
これまでの株式投資はチャートを駆使した「テクニカル分析」や様々なデータから企業の価値を分析する「ファンダメンタル分析」が主流でした。
ただ、経済学者の著者は過去の株式市場の歴史を振り返ると株価は予測不能でランダムに変動してきたと述べたうえで、これらの投資手法で市場平均を上回る運用成績を上げ続けることは難しいと主張しています。
そして、実際にプロの運用する株式ファンドの長期的な運用成績を調べたところ、その3分の2以上は幅広い銘柄に分散投資するインデックス・ファンドよりも見劣りすることが分かったと本書で明かされています。
これらの根拠をもとに、著者は手間がかからずに平均的なリターンが狙えるインデックス投資を勧めています。
株式市場を構成する幅広い銘柄からなるポートフォリオを買ってじっと持っているほうが、高い運用コストと頻繁な銘柄入れ替えに伴う売買手数料で投資家のリターンを確実に目減りさせる、プロの運用する投資信託に打ち勝つ可能性が高いと主張したのだ。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』バートン・マルキール
株式市場の平均に勝ち続けるのは難しい
プロの投資家は「テクニカル分析」や「ファンダメンタル分析」などの投資手法を用いて、市場平均よりも高いリターンを目指して運用を行っています。
ただ、『ウォール街のランダム・ウォーカー』や『敗者のゲーム』といったインデックス投資の名著で実証されているとおり、プロの投資家でも市場平均に勝ち続けるのは至難です。
ここでは、市場平均に勝ち続けることが難しいと言われる背景として知っておきたい重要な用語を2つ紹介します。
ランダム・ウォーク理論
- ランダム・ウォーク
- 物事の過去の動きからは、将来の動き方や方向性を予測することは不可能であるということを意味する言葉。
金融の世界で使われる「ランダム・ウォーク」は金融商品の値動きには規則性がなく、過去の変動は将来の値動きを予測する上で役に立たないということを示します。
株式市場に当てはめるならば、株価が短期的にどの方向に変化するかを予測するのは非常に難しいということです。
つまり、プロの投資家やアナリストが複雑なチャートのパターン分析などを用いたり、収益予想をしてもあまり意味がないと言っています。
効率的市場理論
ランダム・ウォーク理論と密接に関わる用語として覚えておきたいのが「効率的市場理論」です。
- 効率的市場理論
- 現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれており、株価の予測は不可能であるという仮説
この理論をもとにすると、企業の利益や配当の期待成長率に関する情報を用いて分析しているファンダメンタル分析が対象としているものはすべて株価に適正に織り込まれているので無意味ということになります。
以上の「ランダム・ウォーク理論」と「効率的市場理論」より、市場平均と同じ組入内容のポートフォリオでも、プロのアナリストたちに従って運用するものと変わらないパフォーマンスを上げることができるというわけです。
株価が新たな情報に対して非常にすばやく反応するがゆえに、それに基づいて継続的に利益を得られる投資家はいないということなのである。重要な新情報は定義的にランダムに発生し、予測不可能なのだ。それはいくら過去のテクニカルな、あるいはファンダメンタルな情報を研究してみても予見できない。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』バートン・マルキール
インデックス投資がおすすめな理由
本書は膨大なページ数にわたって様々な事例や投資理論が紹介されていますが、結論は「インデックスファンドへの投資がベスト」と非常にシンプルです。
結論は単純明快だ。プロが市場平均を上回り続けることは至難だ、ということだ。まさにわらの山から一本の針を探し出すようなものだ。それよりはるかに賢明な選択は、わらの山そのものをそっくり買うことだ。つまりインデックス運用だ。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』バートン・マルキール
ここでは改めてインデックスファンドへの投資がおすすめな理由を簡単に3つ紹介します。
- 相対的に高いリターンを実現している
- 税法上も有利になる
- 運用成績を予測しやすい
相対的に高いリターンを実現している
これまでの株式市場を振り返ってみると、インデックスファンドはアクティブファンドの平均よりも一貫して高いリターンを上げてきたことが分かっています。
その大きな理由として挙げられるのが、「運用手数料」と「売買コスト」の2つです。
前述のように、株価はランダム・ウォークしており、市場はすぐに新たな情報を直ちに織り込んでいるので、プロでも予測どおりに利益を上げるのは非常に難しくなっています。
結局、多くのアクティブファンドのリターンを平均すると市場平均程度になり、アクティブファンドは「運用手数料」や「売買コスト」がかかる分だけ市場平均を下回ります。
もちろん、市場平均を一貫して上回る成績を上げているファンドもありますが、実際のところ10本の指で数えられる程度しか見つからなかったと本書では述べられています。
市場平均を一貫して上回る成績を上げているファンドは皆無ではない。しかし、主要なインデックス・ファンドをはっきり上回る成績を上げている投資信託は、10本の指で数えられるほどしか見つからないのだ。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』バートン・マルキール
であれば、超低コストで市場平均のリターンが狙えるインデックスファンドに投資するのは非常に賢い選択肢ではないでしょうか。
税法上も有利になる
インデックスファンドは税法上も有利になります。
なぜなら、インデックスファンドは売却するまで値上がり益による課税を先送りできるからです。
アクティブ運用の場合は利益確定のために銘柄を乗り換えるたびに値上がり益が実現され、その都度課税されることになります。
長期投資を行うにあたって、早い段階でリターンの一部が税金として差し引かれると、長期的なリターンに与える影響も大きくなってきます。
税制的な観点からもインデックス投資は長期投資に向いていますね!
運用成績を予測しやすい
インデックスファンドは運用成績を予測しやすいという点でも優れています。
インデックスファンドに投資をしたら基本的にその資産クラスの平均とほぼ同じ動きをすると考えて問題ありません。
過去のリターンを参考にすることによって、運用計画も立てやすくなりますし、将来の資産増加額もイメージしやすくなります。
また、インデックスファンドは相場観に基づいて現金ポジションを持つ必要もないので、常時フルで株式に投資されているという点も効率がいいですね。
アクティブファンドだと将来のパフォーマンスを予測するのが非常に難しいですし、ファンド内の現金ポジションも運用者に委ねられるのでコントロールできません。
財産の健康管理のための10ヵ条
本書は長期の資産運用を行うにあたって非常に参考となる本ですが、中でも具体的なアドバイスとして「財産の健康管理のための10ヵ条」が紹介されています。
米国の経済事情や税制をもとに紹介されているので日本では参考にできない点も少しありますが、それでも長期で資産運用をするならこのポイントは押さえておくべきです。
簡潔にそれぞれのポイントと具体的に取り入れるべき施策(個人的見解)を紹介しますね!
1条 元手を蓄えよ
継続性のある貯蓄計画をできるだけ若いうちに始めること。投資の元手になる資金を時間をかけて着実に貯蓄しよう!
→【Action】先取り貯蓄
2条 現金と保険で万一に備えよ
人生はリスクだらけで、誰にとっても突然まとまったお金が必要になる。人生の破綻に備えるために、ある程度の現金を持ち、適切な保険に加入しておくこと。
→【Action】生活防衛資金の構築、掛け捨て保険の活用
3条 現預金でもインフレ・ヘッジ
銀行預金にお金を預けていても預金金利以上のインフレが起こればお金の価値は目減りする。比較的利回りの高い貯蓄商品を活用しよう!
→【Action】MMFの活用、普通預金金利の高いネット銀行に預金する
4条 節税対策と年金制度の活用
あらゆるチャンスを利用して免税措置を活用し、より税金が取られない形で蓄財することができるか。税制優遇制度を活用しよう!
→【Action】NISA、つみたてNISA、iDeCoの活用
5条 運用目標をはっきりさせる
運用を始めるにあたって、自分がどこまでリスクを取るべきか、どのタイプの投資の組み合わせが最適なのかをはっきり認識する必要がある。
→【Action】自分が取れるリスク水準を見極める
6条 マイホームの活用
世界の人口が増え続ける限り、不動産は最も強力なインフレ・ヘッジになる。マイホーム保有による税制上のメリットも活用しよう。
→【Action】住宅ローン控除の活用、REITへの投資も有効
7条 債券市場に注目
株式リターンとの相関度が低く、時には相関度がマイナスになる債券を組み入れることによって、大きなリスク分散効果が得られる。
→【Action】運用コストの低い債券インデックスを活用
8条 金、ダイヤ、書画骨董、コレクター・アイテム
金価格の変動は他の全ての金融資産との相関が非常に低いため、幅広い分散投資目的で少々保有するのもあり。
→【Action】金鉱株専門に運用するファンドやETFに投資
9条 投資にかかるコストに目を配る
投信やREITで運用する場合はコストの差が鍵。ファンドの世界では、支払うコストを節約した分、リターンが増える。
→【Action】ネット証券の活用、インデックスファンドへの投資
10条 分散投資が大原則
分散投資はリスクを軽減し、長期平均的に投資目標を実現するのに十分な水準のリターンを達成する可能性を大いに高めてくれる。
→【Action】投資対象や資産を分散して投資する
これらの大原則を参考に長期投資するだけでも数十年後の運用成果は大きく変わるはずです。
長期投資をするうえで押さえておきたい内容が凝縮されているので、興味がある方は本書を手にとって読んでみてください。
まとめ:ゆっくりだけど確実に金持ちになれる本
以上、バートン・マルキール博士の名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』の内容を簡潔にまとめさせていただきました。
非常に分厚い本ではあるものの、様々な投資に関する理論や背景を知ったうえでインデックス投資の優位性が学べるのでぜひ一度読んでほしいです。
決して短期でお金持ちになれるようになるノウハウが書かれている本ではありませんが、長期投資をするうえで知っておいた方がいい内容は盛りだくさんとなっています。
本の中でも記載があったとおり、まさに”ゆっくりと、しかし確実に金持ちになる本”だと思います。
本記事をきっかけに『ウォール街のランダム・ウォーカー』に興味を持ってくださった方がいれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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