世界株式インデックスファンドに投資をしようと考えている方も非常に多いと思いますが、以下のような疑問を抱いたことはありませんか。
- 全世界株式の代表的な2指数「MSCI」と「FTSE」の違いが分からない…
- 「MSCI」と「FTSE」のどっちに連動するファンドに投資したらいいの?
- 全世界株式インデックスファンドに投資するなら何がおすすめ?
つみたてNISAでも全世界株式インデックスファンドの対象商品は11本ありますが、細かく対象指数を区別すると以下の3つに分類できます。
- MSCI ACWI(日本含む)
- MSCI ACWI (日本除く)
- FTSE Global All Cap Index
同じ全世界株式インデックスファンドの中でも複数の指数があって分かりにくかもしれませんが、決定的に違うのは「MSCI」と「FTSE」の中身です。
本記事では、「MSCI」と「FTSE」の違いを比較したうえで、どっちに投資をすべきかといった考え方を紹介します。
これから全世界株式インデックスファンドへの投資を考えている方の参考になる内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。
この記事を書いた人
- AFP資格保有(FP実務経験あり)
- 過去に大手証券会社に勤務していた経験あり
- 金融系Webライター
【比較】MSCIとFTSEの違い
冒頭でもお伝えしたように、全世界株式の代表的な指数は以下の2つがあります。
- MSCI All Country Word Index
- 米MSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)社が公表する世界の株式を対象とした時価総額加重平均型の株価指数。当指数から日本と新興国を除外したものが、MSCIコクサイ・インデックスとなる。
- FTSE Global All Cap Index
- 大型株、中型株、小型株を網羅する全世界の株式市場の動向を表す時価総額加重平均型の株価指数。英FTSEインターナショナル社が公表する。
以下、MSCI All Country World Indexを「MSCI ACWI」、FTSE Global All Cap Indexを「FTSE GACI」と表記します。
「MSCI ACWI」と「FTSE GACI」の主な違いを比較して表にまとめました。
指数 | MSCI ACWI | FTSE GACI |
算出会社 | MSCI社(米) | FTSEインターナショナル社(英) |
投資対象 | 大型/中型 | 大型/中型/小型 |
投資国数 | 48ヵ国 | 49ヵ国 |
時価総額カバー率 | 約85% | 約98% |
構成銘柄数 | 約3,000 | 約9,000 |
最大の違いは投資対象に小型株を含むかどうか
両指数の最大の違いとも言えるのが、投資対象に小型株を含むかどうかです。
「MSCI ACWI」は世界の大型・中型株式を対象としているのに対し、「FTSE GACI」は大型株から小型株までより幅広く投資をしています。
その結果、構成銘柄数や時価総額のカバー率(浮動株調整後)も「FTSE GACI」の方が多くなっています。
- 浮動株調整後時価総額
- 上場株式数のうち、会社の創業者や経営陣といった大株主などが保有している株数を除いた浮動株数をもとに計算された時価総額。
「MSCI ACWI」は全世界株式市場の約85%をカバーしていますが、「FTSE GACI」は約98%をカバーしています。
つまり、全世界株式に投資をするにあたって、小型株まで含めてより広い範囲で投資をしたいという方は「FTSE GACI」に連動するインデックスファンドがおすすめです。
FTSE GACIは二重のコストが発生する
「FTSE GACI」は約9,000銘柄に投資しており、全世界株式市場の約98%をカバーしていますが、その分指数に連動させる難易度が上がります。
そのため「MSCI ACWI」と比較すると、「FTSE GACI」には以下の2つの不都合が生じます。
- 二重のコストが発生
- ベンチマークとの乖離が大きくなる
つみたてNISAの対象で「FTSE GACI」への連動を目指すファンドは3つありますが、いずれも海外ETFを介して間接的に投資を行なっています。
SBI・全世界株式インデックス・ファンド | ①バンガード・トータル・ストック・マーケットETF ②SPDR ポートフォリオ・ディベロップド・ワールド(除く米国)ETF ③SPDR ポートフォリオ・エマージングマーケッツETF |
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF |
海外ETFには経費率といったコストがかかりますので、投資信託の信託報酬+ETFの経費率の二重コストがかかる構造になっていることは理解しておくべきです。
また、「FTSE GACI」は「MSCI ACWI」よりも投資対象が広くなるため、ベンチマークとの乖離も大きくなりやすいですね。
分かりやすく「MSCI ACWI」と「FTSE GACI」に連動する2つの商品を比較してみましょう。
【横にスクロールできます】
ファンド名 | 連動指数 | 信託報酬 【税込】 | ETFの経費率 | 実質コスト | トラッキング エラー【1年】 | トラッキング エラー【3年】 |
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | MSCI ACWI | 0.1144% | – | 0.178% | 4.96 | 4.78 |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | FTSE GACI | 0.132% | 0.08% | 0.240% | 5.11 | 5.29 |
実際に両ファンドのトラッキングエラーの数値を確認していただければ、FTSE GACIに連動する「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」の方が数値が高くなっている(=ベンチマークとの乖離がより大きい)ことが確認できます。
MSCIとFTSEのパフォーマンスの違いは?
では「MSCI ACWI」と「FTSE GACI」のパフォーマンスはどれくらい違うのでしょうか。
それぞれの指数に連動する代表的なインデックスファンドを用いて、1年、3年の年率リターンを比較してみました。
ファンド名 | 連動指数 | 年率リターン 【1年】 | 年率リターン 【3年】 |
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | MSCI ACWI | 21.10% | 17.31% |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | FTSE GACI | 19.57% | 16.75% |
ご覧のとおり、パフォーマンスはほとんど同じであるものの、MSCI ACWIに連動する「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の方が少し運用成績が良いですね。
とはいえ、大きな差ではないのであまり気にしなくていいかと思います。
MSCIとFTSEどっちに投資すべき?
これまで述べてきた「MSCI ACWI」と「FTSE GACI」の違いをもとに、結局どっちに投資をすべきなのかについて言及していきます。
結論としては、小型株まで含めてより幅広く世界株式に投資をしたい場合は「FTSE GACI」、特にこだわりがなければ「MSCI ACWI」を選べばOKです。
これまで様々な違いを述べてきましたが、結局のところ大きな違いは投資対象に小型株を含むかどうかになります。
小型株の有無によって時価総額のカバー率や構成銘柄数が異なりますが、両指数とも全世界株式市場に大きく投資をしている点では同じなのでパフォーマンスも似ています。
「MSCI ACWI」と「FTSE GACI」のどちらの指数に連動するファンドに投資をしたとしても投資の世界では高得点が取れていますので、迷ったら自身の好みで決めましょう。
つみたてNISA対象の全世界株式ファンド11本に関しては以下の記事で徹底比較しておりますので、ぜひ参考にしてください。